はじめに
Chapter 1 これからの図書館を考える
Chapter 2 新しい図書館を旅する
Chapter 3 都市のような図書館をつくる
おわりに
都市のような図書館をつくる Library as the city

図書館は、やがて都市になる
2026年6月、OpenA・ひらく・図書館総合研究所の3社共著による『都市のような図書館をつくる』を出版しました。
1970年代以降、知識の集積地として整備されてきた図書館は、21世紀に入りコミュニティの拠点へと進化していきました。
指定管理者制度の普及や民間企業の参入によってその形は年々多ベクトル化し、いま図書館はもっともダイナミックに可能性が模索されているビルディングタイプといえます。
タイトル「都市のような図書館」とは、街の縮図のように多様な要素が詰まった空間であり、街の未来を描く場所。そんな豊かな解釈を内包した言葉です。
「図書館計画」「本のある場づくり」「公共空間設計」という3社それぞれの専門性を持ち寄りながら対話を重ね、概念・事例・実践の三部構成としました。
行政関係者から民間企業、日常的に図書館を使う市民まで、新しい視点で図書館を捉え直すための一冊です。
この特設サイトでは、本書に収録できなかったコンテンツを掲載しています。膨大な取材によって集まった、テキスト、写真、音源、動画など。
本には収まらなかったそれらをここに集約し、これからも更新を続けていきます。
本とウェブを行き来しながら、都市のような図書館の世界を体感してください。
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Chapter3SITE:
VIVITA BOOKS子どもと学生のペアで世田谷を歩き、街の「ふしぎのタネ」を本にしていく試み
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Chapter2ARTICLE:
ニューヨーク公共図書館コロナを機に進むデジタル化と、リアルと両立させるハイブリッド運営の現在を追う
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Chapter2ARTICLE:
札幌市図書・情報館はたらく人を支えるための“テーマ特化型”図書館、自治体直営の挑戦的な取り組みに迫る
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おわりにpodcast:
『都市のような図書館をつくる』編集のプロセス書籍発刊を記念し、執筆・編集に関わったOpenAのメンバー(馬場正尊、中島彩、河﨑帆高、竹内咲恵子、林泰地)と、一冊の本として形ができあがっていくプロセスの面白さや、執筆・編集段階で感じていたことなどについて振り返る
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Chapter2ARTICLE:
ホントカ。動く本棚と「面積貸し」が日々生む変化、建築と運営の工夫を読み解く
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Chapter2ARTICLE:
牧之原市立図書館ホームセンターを再生し、暮らしと本を地続きにする民設共営モデルを読み解く
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Chapter3ARTICLE:
知恵図書館都心の地下街にテナントとして入居する無人図書館、RFIDで支える分散型図書館の仕組みを探る
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Chapter3
■本は人と実空間をつなげる媒体
図書館的機能が建物の中に収まっているだけでなく、街中に拡がっていれば。そんなイメージを既に実現した街がある。長野県小布施町の「まちじゅう図書館」。2012年に始まった取り組みで、街のあちこちに小さな本棚を点在させることで、町全体を図書館にするというプロジェクトだ。
店先や蔵、自宅の玄関口の余った空間に自分の好きな本を置いておく。街を歩く人がそれに響けば、そこからコミュニケーションが始まることだってある。本のある店や家のネットワークは地図にまとめられ、住民も観光客もそれを片手に街を巡っていく。
本という物体が、図書館と街の小さな場所を具体的につないでいる。
ウェブサイトであればリンクを張る、ということに置き換わるのだろう。それは確かに便利だが、関係性はデジタルで空間的なつながりではない。
わざわざ本棚を置き、本をセレクトするといった少々面倒なプロセスを踏むことにより、図書館とその他の場所との実空間的なつながりを生んでいる。
こうやって街の至るところに本棚があり、人々がそれを意識することができれば、バラバラだった街の機能が、まるで本として編集されるかのようにまとまって見えてくる。
それは、図書館がきっかけの、本が媒体となったまちづくりのようでもある。
■屋台の図書館が、街に出没
OpenAが別府市新図書館の基本計画段階で実施した「モバイルライブラリー」は、屋台のような小さな移動図書館。実験期間中、市役所や駅、ショッピングセンターなどに出没させた。
目的は、図書館が新しくなることの告知や、図書館の存在を市民に身近に感じてもらうことだった。
見慣れた街の風景の中に本の屋台が置かれ、小さな違和感がフックとなり、ちょっと立ち寄って本を眺める人々の姿が見られた。意外な場所での、意外な本との出会いを演出する小さな装置である。
ちょっとした工夫で、図書館的要素を街に散らばらせ、市民の日常の中に溶け込ませる。
※写真(別府の屋台図書館)
そもそも日本には移動図書館があり、本をたっぷり積んだ車が図書館本体から遠い地域や学校を定期的に訪れていた。人々がそれを心待ちにし、やってきた時には周りが華やいだ。現在でも一部の地域では実施されているが、車両を移動させたり、図書館を新たに整備したり、維持し続けるための予算や人員の配置は難しくなっていると聞く。
だとするならば、その分身のような屋台の図書館が、街のさまざまなところに散らばっている。その場所に関わる人々が、図書館と連携しながらコンテンツを考えたり、本をチョイスしたりする。自立分散型のネットワークを、図書館的機能がつないでいく。
■台湾式・散らばる図書館
台湾でも、都市に散らばる図書館が体系的に展開されている。この本で紹介した「知恵図書館」は、無人運営型の小さな公共図書館。本をRFIDタグで管理することでセルフサービス方式をとり、台北市の中心市街地にある駅や空港、公園などの公共空間に設置されている。
駅の通路ではジュークボックスのような図書館マシンを見かけることがある。本の貸出や予約本の受け取り、予約の受け付けなどの機能があり、知恵図書館をさらにコンパクトにした無人図書館だ。このように駅や移動の結節点に、機能的でアイコン的な本のプラットフォームがあることもおもしろい現象だ。

知恵図書館 ■本が場のアイコンに
台湾といえば、図書館ではないが、市民にとっての文化の中心地でもあり、もはや観光地にすらなっている誠品書店がある。本のアイコン性を存分に使い、本屋を新しいタイプの商業空間へと昇華させた。旅や観光の書棚の周辺に旅行関連のショップが並び、ファッション雑誌の周りにアパレルショップ、絵本の棚のそばには、おもちゃなどの子ども商品が配置されている。
本を眺めて、気分が盛り上がったところで、その横に購入の場がある。消費心理をダイレクトに空間化した構成は、本という物体の不思議な魅力を最大限に引き出しているように見える。誠品書店は本屋の複合化の可能性を拓いたのと同時に、本が周辺環境のアイコンとして有効性を示した。
■書店3.0へ
雑誌や週刊誌などを中心に情報を販売する従来のビジネスモデルを書店1.0とする。そして、多商材化・多機能化した誠品書店を書店2.0とするならば、その次なる書店3.0は独立系書店といえるだろう。台北市の中心地にはユニークな独立系書店が街に点在しているのを見かける。日本でも都市部を中心に、独立系書店が静かに熱く盛り上がりをみせている。
店主のキャラクターや価値観が反映された品揃えや店づくりが特徴で、特定のジャンルに特化していたり、ちょっとマニアックなセレクションが楽しめたりする。本の販売だけでなく、読書会やトークイベント、ワークショップを開催するなど、文化発信やコミュニティを育む役割もある。デジタル化されて今やどこでも本が読める時代なのにもかかわらず、なぜ人間は本という存在に惹かれてしまうのだろうか。都市に小さな書店が散らばるという現象は、そんな人間の不思議な性(さが)を象徴的に表しているのかもしれない。
COLUMN:
街を図書館化する小布施の本棚、別府の屋台、台北の無人スタンド—本で公共空間を再編する事例集
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Chapter2ARTICLE:
新しい図書館を旅する国内外にある公共図書館や本のある空間を訪ね歩き、これからの公共の場の可能性を探るシリーズ
