「公共R不動産」というWebサイトの制作を始めている。
今までのR不動産は、民間が所有しているさまざまな物件について、その魅力を写真や文章で表現しながら眠っていた価値を顕在化させ、市場に再評価させるためのしくみだった。2003年に始まったこのサイトは、10年間で全国9カ所を数えるまでになっている。
「公共R不動産」はその公共空間版である。インターフェイスは基本的に同じで、全国に眠っている使われていない、でも隠れた可能性を持った公共空間をアーカイブしていく。もちろんただ物件を紹介するのではなく、空間の特徴や、こう使えばいいんじゃないか、というようなアイデアなどを、文章、写真、スケッチなどを織り交ぜて紹介していこうと考えている。
可能性を秘めたまま氷づけになっている公共空間を顕在化させ、利用の制限を溶かすことから始めるのである。その使い方にさまざまな人々や組織が参画することにより意外な使い方が発見されることもあるだろう。
ではなぜこのようなウェブサイトの必要性を感じたのか。その背景には全国に数多くの使われていない公共空間が存在し、そしてその数は今後も増え続け、これらを有効に活用するスキームがまだ日本にはほとんど存在していないという気づきがあったからだ。
今後、数多くの地方自治体が、税収減が想定される。ダブつく公共施設がその財政をさらに圧迫することになるだろう。だとするならば、それらは民間の手に委ねざるを得ない。しかし現在、それをスムーズに進めるスキームは今だに計画化されていない。公共R不動産では、眠っている魅力的な公共空間を本来の意味でパブリックスペースとするための、方法論自体を作り上げるエンジンにしたいと思っている。
全国の地方自治体で公共空間の活用の仕方に悩んでいる行政マンのみなさん、是非アクセスしてみて下さい。
公共R不動産HP(http://www.realpublicestate.jp)
*こちらの記事は季刊誌『オルタナ40号(2015年4月30日発売)」に掲載された記事です。オルタナ
(文=馬場正尊)