福山の住宅 -東棟-


















福山の住宅 -東棟-
時期:2020.8〜2023.5
所在地:広島県福山市
クライアント:個人
規模:RC造、地上2階、延床面積 522.15㎡
用途:住宅
CM:株式会社アー・ヴェー・ツェーム
設計/監理:馬場正尊+平岩祐季+瀧下まり+土屋柚貴+小川理玖/OpenA
インテリア監修/FFE選定:阪田恵美
撮影:阿野太一 /有限会社フォワード
代々引き継がれてきた住まいを、次の世代へと受け継いでいくための計画。
広大な敷地には南を向いて2棟の建物が並び建っており、これまでの家族間の距離感や建物同士の関係性を引き継ぎながら、東棟、西棟という分棟形式の住まいとして再構築することを目指した。
東棟は、築60年を迎え老朽化が進んでいたRC造住宅を解体し、新たに新築した建物である。
既存建物と同等以上の床面積を確保しつつ、屋根の掛け方を分割することで、アイレベルから見上げた際のボリューム感を抑え、周辺環境に馴染む佇まいとなるような建物形状とした。
周辺建物の窓位置や日射条件を踏まえ、ハイサイドライト(高窓)や大開口、庇、外部ブラインドを組み合わせることで、視線を遮りながらも光や風を取り入れ、日射と通風をコントロールする断面構成としている。南北の卓越風を取り込み、家全体に心地よい風が巡るよう配慮した。
南庭に面したリビング・ダイニングは2層吹き抜けとし、光や風が上下階を通して広がる空間とした。吹き抜けによる煙突効果を利用し、水やりによって庭で冷やされた外気を室内へと取り込みながら空気の流れを生み出すことで、温熱環境を整えている。この場所が人の気配や季節、時間を緩やかにつなぐ、住まいの中心となることを意識している。
内装は、水平方向に木材などの温かみのある素材を用い、垂直方向には白・黒・グレーといった無彩色を基調に構成。漆喰や石材、タイル、革など、素材のテクスチャーが感じられる要素を連続させ、奥行きのある空間となっている。
両棟を緩やかにつなぐデッキは、西棟や庭の気配を感じながら、分棟でありながらも敷地全体と連続した暮らしが生まれることを意図した。既存樹や既存石を生かしながら整えた庭は、日常的には室内から眺める庭として機能し、季節の移ろいに合わせて木々の間を歩きながら、近くで緑を楽しめるよう動線を設けている。
長い時間をかけて受け継がれてきた敷地と暮らしに、新たな世代の住まいを重ねながら、これから先も使い続けられていくことを願っている。(瀧下まり/Open A)
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