〈〈今だけの〉〉天童市立図書館 〈Tendo Temporary Library〉

〈〈今だけの〉〉天童市立図書館 〈Tendo Temporary Library〉

時期:2025.04〜2025.11

所在地:山形県天童市

クライアント:天童市

規模:木造251.74㎡

用途:仮設図書館

企画・設計・監理:OpenA/馬場正尊+栗田知騎+河崎帆高

施工:丸櫻建成株式会社

サインデザイン:TEMPO

撮影:平岩祐季、丸櫻建成

水の波紋のように広がり続ける、木組の図書館

山形県、天童市立図書館の改修工事に伴う仮設図書館の設置プロジェクト。

改修工事期間中、図書機能を担保することは元より、基本計画から現在に至るまで3年強に渡る図書館改修プロジェクトの熱量を維持向上させるべく、仮設図書館の存在自体を工事期間中のプロモーションの媒体にできないかと考えた。

一方で、昨今の建設コスト上昇の波を受け、通常仮設で用いられるプレハブ工法であっても大面積を確保するには予算の問題が立ちはだかった。

そうした中、JR天童駅に直結するターミナルビル1階の空きテナントを活用する案が浮上。市が約260㎡の区画を借用、公の場として利用することが決まった。

四方を大きな通路に囲まれた孤島のようなテナント区画は、背面を構えづらいデメリットもあるが、一方で四面全てを開くことができるメリットがあるともいえる。

そこでテナント区画に直接手を加えず、大きな家具を設置するような設計のアプローチを試みた。区画に沿うロの字形の平面構成とし、中央に事務機能と閉架書庫を集約配置、回遊動線を確保することで4面全てに書架を配置できるようにし、与件であった4万冊(開架2万冊/閉架2万冊)の配架を可能にしている。

構造には住宅用流通規格材を用いた。在来工法の尺モジュールを基準に、材ごとの歩留を最大化した寸法を検証、一部モジュールとしてプランニングを行うことでコスト削減を試みた。結果として歩留9割強を実現している。

施工は地元工務店である丸櫻建成の普遍的かつ確かな木造技術により、特殊工法に頼らず、他地域でも再現可能な体制、工法とした。接合はビス・釘を避け、仕口とボルト留のみで構成することで解体・移設・再利用も可能としている。

サイングラフィックについても仮設性、転用性を踏襲するデザインとした。書籍の分類表記についてはそれぞれの判子を制作、フレームの木材に直接押印を行った。流通製材に刻印される品質表示の判子のように、今後仮設期間が終了し二次転用された際、この木材が仮設図書館で使用された証を残せないかと考えた。

本設図書館と違い仮設図書館では各分類の配分が不規則であることから、配架後に直接押印できる判子は実用面でも機能している。「<Tendo Temporary Library>」のメインロゴについても同様に判子で作成、画一的な設計の中にアイコニックさを取り入れた。判子によるサイン施工は設計者だけでなく市担当者、司書等、関係者自らが行ったことで当事者意識が強調された。その他のサインについても、ビニルカーテンやポリカ等、二次転用を見据え外部使用できる素材で制作している。

施工中は仮囲いを設けず、過程を駅ビル利用者に公開しながら進めた。書架の背板はアクリル、事務スペースも適度に視線が抜けるよう書架の高さを部分的に抑え、司書の日常業務も含めた図書館の運営プロセスを市民の動線に向けて開くことを意図している。工事段階から完成後まで一貫してプロセスを公開した結果、新規層の図書館登録も増加している。

設置期間終了後も建材と工法を継承しながら、水の波紋のように街中へ広がり、次の公共施設へとバトンを繋ぐ、媒体としての建築である。(栗田知騎)

before(空きテナントの状態)
after
地元工務店、丸櫻建成による普遍的な木造軸組
仕口とボルト留のみで構成することで解体・移設・再利用も可能に
書架の分類サインも配架後に直接押印できる判子で行った