上総一ノ宮の住宅

上総一ノ宮の住宅

時期:2021.09~2023.11

所在地:千葉県長生郡

規模:木造平家建て 約150㎡

用途:住宅

基本・実施設計:馬場正尊+平岩祐希+西川貴大+石川彩(Open A)

撮影:楠瀬友将

東京オリンピック2020のサーフィン会場になったことでも有名な千葉県の一ノ宮での住宅の計画である。
敷地は分譲地3軒分の大きな土地で、東側に梨園が広がり、周囲には竹林がある閑静なエリア。クライアントからの要望は「大きな庭がある明るい空間で、家族4人が楽しく・健やかに暮らしたい」というものであった。

建物の構成としては、南東に向けて緩い角度で開いた住居棟と少し角度をつけたスタジオ棟。陽の入り方も考慮し、2棟を庭を挟んで向かい合うように配置している。 この操作によって、広い敷地が建物といくつかの庭で構成されるようになった。
庭と建物が少しずつ区切られつつ、ゆるく繋がっていく。中庭には芝生を敷き詰めることによって東側の梨園の緑と一体となり、広い九十九里の空も感じられる構成となっている。

室内のゾーニングについては、家族で食事を楽しめるよう建物の中央にキッチンを設けた。キッチンからは個室やバルコニー、リビングに加え、庭やスタジオ棟まで見渡すことができる。

ウッドデッキが室内と庭を緩やかに繋いでいる。また、北側の個室や浴室からも庭を感じられるようなレイアウトとしている。

内装は2棟ともシンプルな白とやわらかなオーク材でまとめ、外装は庭の緑が映える白い左官材で整えた。

建物同士が緩やかに関係し合う空間。それはまるで、仲がよい家族の形が自然と現れてくるようであった。(石川彩/Open A)