やまがたクリエイティブシティセンターQ1


















やまがたクリエイティブシティセンターQ1
時期:2019.06~2022.03
所在地:山形県山形市
クライアント:山形市
規模:延床面積 4,962.97㎡
用途:事務所 飲食店 物販店 展示場 その他
基本・実施設計、監理:馬場 正尊+荻野 晋也+武田 皐/OpenA
撮影:阿野 太一/FWD
1927年に開校し、2001年に国の登録有形文化財に登録された山形市立第一小学校旧校舎の改修プロジェクト。2017年、山形市がユネスコ創造都市ネットワークに加盟したことをきっかけに事業構想が進み、2022年9月、山形のクリエイティブ産業の拠点となる複合施設「やまがたクリエイティブシティセンターQ1」として開業した。
歴史ある旧校舎の特徴を活かしながら、飲食店、物販店、ギャラリーなど、さまざまな営みが共存する複合用途施設とするために、用途の構成を決めるプロセスにも独自の工夫を加えている。
一般的には、各部屋の用途を決定し、それに合わせて空間設計を行うが、本施設ではその逆のアプローチを採用した。既存の建物が持つ階段の幅や歩行距離といったハード面の条件をもとに、各部屋で可能な用途を逆算。そのうえで、リーシングの要望に応じて適切な用途を割り当てていくという手法をとった。
かつて教室であった区画に多様なプレーヤーたちが入居し、それぞれの営みが立体的なパッサージュのように並ぶ風景をイメージした。廊下と教室の間はできる限り透明にし、歩くだけで、それらの世界観が体感できる空間となっている。
凸型の開口部や木煉瓦の跡が残る洞窟のような空間など、既存の躯体はできるだけそのまま活かしている。建具は既存の開口には合わせず、アウトセットして設けることで既存開口の形状から切り離し、枠の存在感を消した。空調や換気設備は窓前に面台を設け、電気配線も可能な限り床下を通すことで、天井面に設備機器が現れないミニマムな仕上げとした。数少ない操作である面台は、各テナントが内装を作っていく手がかりとなる。(馬場正尊+荻野晋也)