東大島のシェアハウス

東大島のシェアハウス

時期:2020.05

所在地:東京都江東区大島

クライアント:三菱地所レジデンス株式会社

規模:2669.70㎡

用途:寄宿舎

設計・監理:武田皐/Open A

共同設計・監理:塚越宮下設計

サイン計画:banana

撮影:鈴木淳平

東大島にある旧社員寮をシェアハウスへとリノベーションしたプロジェクトである。

対象物件が位置するのは、マリンスポーツが充実している旧中川や屋外運動場のほか、マラソンコースやサイクリングロードとして人気がある荒川など、さまざまなスポーツが楽しめるエリアであった。

そこで周辺地域の特性をもとに「スポーツがより楽しめるシェアハウス」とテーマを設定し、共用部には既存の機械室を活用したサイクルカスタムスペースやジムエリアなどの付加価値をつけて設計をおこなった。

家具デザインやサイン計画では、「ARCH-ABLE(アーカブル)」とコラボレーションした。ARCH-ABLEとは、建築家が生みだしたデザインのデジタルデータをアーカイブし、CCライセンスのもとに公開するプラットホームである。

シェアハウスの住民が集うラウンジには、ARCH-ABLEで公開されている三角柱状のユニット家具を設置。ラッシングベルトを巻いてつくるもので、ホームセンターで手に入る材料だけでつくることができ、分解も容易にできる。側板の向きを変えたり、積み重ねることでスツールやテーブル、カウンターとして利用することができるため、ラウンジにおけるさまざまなシチュエーションに合わせた活用を想定している。

サイン計画では、ステンシルスタイルのタイポグラフィでデザインされたARCH-ABLE書体を使用。掘り込みにも、切りがきにも、3Dプリンティングにも優しく、すべてのコーナーにドリルビットが入るという加工がしやすい書体だ。

有効ボードを基盤に切文字のARCH-ABLE書体を配置することで、不均一な文字感を生み出しシェアハウスにおける「個性」と「距離感」を表現した。

これからシェアハウスが運用されていくにあたり、ときには家具の消耗や増設、またはサインの変更が必要になるかもしれない。そんなときにデータをダウンロードし、誰でもDIYできるARCH-ABLEとコラボレーションをしていることで、この先も住まいの環境を豊かにし続けるという試みだ。(武田皐/Open A)