Slit Park YURAKUCHO

Slit Park YURAKUCHO

時期:2020.01~2022.08

所在地:東京都千代田区丸の内

クライアント:三菱地所株式会社

規模:延床面積 77,484㎡

設計:三菱地所設計+馬場正尊、大橋一隆、平岩祐季、福井亜啓、石川彩/Open A

構造・設備:三菱地所設計 、家具:TAAO、植栽:東邦レオ  

撮影:長谷川健太

道路の公園化

ここ数年、街路空間活用の取り組みが各地で盛んに行われている。本計画地に接続する丸の内仲通りでも、沿道と路上を一体的な公園とする社会実験、Marunouchi Street Parkが定期的に開催され、人々が集い多様な活動を受容する街路空間の可能性が検証されている。SLIT PARK YURAKUCHOも、そうした都市構造の再構築を行い、変化の状況を伝える象徴的な場をつくり出すことを目指して企画された。

敷地は、新国際ビルと新日石ビルに挟まれたL字型の細い路地。通用口への裏動線などバックヤードとしての意味合いが強い空間であった。しかしそこは民地であり、公道にはない自由度が潜在していたことから、都市の隙間に生まれる新しい公園の風景が浮かび上がった。

この空間に新たな人の流れを生むべく、仲通りへ貫通する新たな動線をつくり出すことからはじまり、今まで通路としての機能しか持たなかった路地空間に、多様な居場所を生み出す要素をプロットしていった。同時に植物等の有機的で自然を感じる素材・要素を取り入れながら、既存の都市空間に対してコントラストを与え、内側から少しずつ周囲を侵食しながら広がっていくような場としてデザインした。仲通りから新国際ビルを貫通して大名小路へと連続的に繋がる空間は、街路・エントランス・共用部・ラウンジ・屋外空間といった異なる機能とそこでの活動が視線上で次々に重なり、多様なシーンがレイヤー化された風景を生み出している。またそこに場のマネジメントが組み合わさることにより、人々の誘引を促し、ビル入居者や周辺のワーカー、来街者などさまざまな属性の人の交流が可能な場となっている。

今回、この場が短期的な社会実験としてではなく、恒常的な公園空間として実現したのは民地であったことが大きい。しかしながら、これがひとつのトラックレコードとなることによって、既存の枠組みや制度の変更を伴いながら、あらゆる公共空間に展開されていくことを期待したい。(Open A/大橋一隆)

2023グッドデザイン賞を受賞しました
https://www.g-mark.org/gallery/winners/19687?companies=df8d3dd8-2297-48ad-90ac-b12f5f8f01fd