UNPLAN Fukuoka/大濠公園のホステル

UNPLAN Fukuoka/大濠公園のホステル

時期:2019.04~2020.07

所在地:福岡県福岡市

クライアント:三菱地所レジデンス株式会社

規模:鉄筋コンクリート造 5階 1667m²

用途:簡易宿所・店舗

ベッド什器、家具選定:アイダアトリエ

撮影:阿野太一

大濠公園の前にある物流倉庫をホステルへとリノベーションした。三菱地所レジデンスが行う既存ストックリノベーション「Reビル事業」で初となる宿泊施設であり、「大濠公園にある宿泊施設とは、どのような姿をしているのか」を探るところから計画はスタートした。

公園とつながるインターフェースとして、1階東側にはカフェがあり、ホステルのレセプションの役割も果たす。公園の利用者も気軽に立ち寄れるように、道路に面してテイクアウト用のカウンターを設置した。宿泊客、観光客、まちの人など、あらゆる人が入り混じることを想定して開口部を大きくとり、内部でもカフェのカウンターの素材を切り替えることで、サービスを受ける側と提供する側の境界を意図的にぼかし、カジュアルさを演出している。

1階の外壁は既存のタイルをはつり、クリアの防水塗料によるラフに仕上げに。耐震補強のために新設した壁は、既存と馴染むようにビシャン仕上げで骨材の表情を出した。2階以上の外壁はタイルを補修し、既存を生かしている。

1階のサッシやドアには錆止めの赤色をそのまま採用し、地面には赤レンガを敷いた。大濠公園内には前川國男設計の福岡市美術館があり、このエリアは高級住宅地でもある。周辺エリアの落ち着いたモダニズムの素材や色から着想を得たものだ。

客室フロアの中廊下では建具の模様をすべて変えている。廊下と扉が続く閉塞感を変則的なデザインで視覚的に和らげることが狙いだ。最上階にある宿泊者専用ラウンジでは、窓の向こうに大濠公園が広がる。キッチンや小上がりのソファ、畳など、あらゆるスペースを配置し、どこからでも大濠公園が目に入るように床の高さを調節した。

大濠公園とつながる場所として、宿泊者にもまちの人にも“公園がある日常”を楽しんでほしい。(荻野晋也/Open A)