熊本のオフィスリノベーション

熊本のオフィスリノベーション

時期:2021.09~2022.08

所在地:熊本県熊本市中央区

クライアント:株式会社南栄開発

規模:延床面積(B1F〜8F):4339㎡

用途:事務所、店舗(一部)

基本・実施設計:Open A/馬場正尊+澤伸彦+及川潤、大谷一翔建築設計事務所/大谷一翔

撮影:楠瀬友将

引き込むオフィスビル

熊本城近くに位置する、地上8階建てのテナントオフィスビルのリノベーションである。

路面電車の走る前面道路には、道ゆく人や車に木陰をつくる大きな樹木が植えられており、この場所のグランドレベルを彩っていた。そんな小さくとも公共的な屋外空間から連続し、外から中へ引き込まれるようなオフィスビルをつくれないかと考えた。

1階の中央にはオープンラウンジという約25㎡の誰でも入れる場所を設けた。前面ガラス張りの店舗が隣接しており、店舗の活動の広がりを受け止める余白となることも想定している。

同じく1階のインセットした外壁のカラーコンクリートをエレベーターホールまで連続させた。樹木と呼応したグリーンの色合いで、真鍮風の巾木と廻り縁により、道から引き込まれる印象が強くなる。

2〜7階は、テナントオフィス基準階である。トイレや給湯室といった共用空間は、周囲と壁の色を切り替えることで、淡白になりがちな基準階にアクセントを加えた。

8階廊下では、共用空間の塗装が階段室まで続き、さらに屋上階のデッキまで連続する。屋上階はビル入居者同士がコミュニケーションをとったり、気分転換できる場となるため、デッキを隆起させてパソコンや飲み物を置けるカウンターとした。

ビル全体のサインデザインは、真鍮色を基調とし、塗装やカラーコンクリートによって重厚なビルの印象を軽やかにしている。

グランドレベルを起点とした流れるようなデザインの連続が作用することで、まちとの関係性をうながすようなオフィスビルとなってほしい。(及川潤/OpenA)