有楽町SAAI

有楽町SAAI

時期:2020.02

所在地:東京都千代田区有楽町

クライアント:三菱地所

規模:1000.10㎡

用途:オフィス

設計・監理:大橋一隆+平岩祐季+福井亜啓/Open A

共同設計・監理:YND ARCHITECTS 米田真大

撮影:高木康弘

創造性を刺激するアップサイクル空間

SAAI -Wonder Working Community-は、新しい感覚に出逢うことで新しい”おもいつき”が生まれることを目的としたワークプレイスである。この場所は、長らく会員制の企業ラウンジとして使われており、重厚な仕上げによる内装や家具が特徴的な、高度成長期の勢いが映し出されたような独特の魅力を持った空間だった。

本計画では、その既存の状態を貴重な素材だと捉え、全てをスケルトン状態に戻さずに、元々あった和室や折り上げ天井、造り付けの什器に壁面の装飾など、部分を切り取って残していくような解体のデザインを行った。そしてそこに新たな要素を組み合わせていくことで、ここでしか実現し得ない空間に昇華させることを目指した。

また什器は、数年前から取り組んでいる産業廃棄物をアップサイクルするプロジェクト「THROWBACK」のプロダクトが並ぶと同時に、既存施設で使われていた家具や照明を再利用したり、かつて帝国劇場で使われていた椅子や灰皿などを活用するなど、街文脈での素材の循環を行うことも試みている。

こうして空間全体をアップサイクルするような感覚でつくられたこの施設は、至るところにさまざまな過去の記憶が埋め込まれ、それがコミュニケーションを生むきっかけにも繋がっている。典型的な執務スペースはほとんど無く、バーやラウンジ、充実したキッチンやダイニングなどの多様な空間が配置され、すべての場所で人が集い、さまざまな情報が飛び交うことを想定した新しいワークプレイスとなっている。(大橋一隆)