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Little Nap Coffee Stand


時期:2011.02
所在地:渋谷区代々木
クライアント:AAOS
規模:S造3階建ての1階
延床面積:19.05㎡
用途:店舗


小さなコーヒースタンドが、街にどんな出来事をもたらすか。

代々木公園沿いの閑静な住宅街に小さなコーヒースタンドをつくった。最寄りの駅は代々木八幡で、一軒家の一階部分だけを改装した20㎡ほどの空間。僕も企画と経営に参画している。 小さ過ぎてカフェと呼ぶにはおこがましいのもあるが、僕らがこだわったのはカフェではなくコーヒースタンドであるということ。近所の人々が通勤途中にちょっと立ち寄って、短い立ち話をして、またそれぞれの目的地に散っていく。そんな、街のなかにポツンとあってコミュニケーションの基地になっているような場所。そんなコーヒースタンドは、東京にありそうでなかった。

この店の真ん中には、店のサイズには似つかわしくない巨大なエスプレッソマシンある。その風貌はエスプレッソをつくるというより、まるで自動車の工具のような姿で銀色に光っている。普通のエスプレッソマシに比べ作業量が妙に多い。粉を挽いて適切な量を詰め、お客さんの好みやその日の湿度を気にしながら、いくつかのダイヤルをガチガチと動かして、ブシューッと淹れている。バリスタは、「こいつは、じゃじゃ馬マシンで、手なづけるのが大変だ」と話す。エスプレッソマシンにも個性があるのだ。

「焙煎がかなり浅いから、豆自体の甘みがわかるよ」、と言われ飲んでみると、確かに糖分とはまたく違うタイプの甘みがある。濃いコーヒーなのに、飲んだ後のオリが残らない。ちょっと不思議な味がする。

通り沿いのカウンターにしばらくたたずんでいると、ガラス越しに自転車に乗った人が軽く合図をしながら通り過ぎるのを見た。それはカウンターの奥にいるバリスタへのアイコンタクトだった。リトル・ナップ・コーヒースタンドが、街の風景に馴染んで行く瞬間を垣間みた。

店の目の前には桜並木があって、窓越しにそれが見えている。コーヒーを買って、桜の木の下で個性的な味のコーヒーを味わう。通りすがりの人が、軽く話しかけ去って行く。街の日常の、ちょっとした時間をデザインするためのコーヒースタンド。

Little Nap Coffee Stand
http://www.littlenap.jp/