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佐賀市柳町歴史地区再生計画


時期:2015.03
所在地:佐賀県佐賀市
クライアント:佐賀市
規模:
旧久富家住宅 木造2階建て
旧森永家住宅 木造2階建て(北蔵)/木造2階建て(南蔵)/木造1階建て(居宅)
延床面積:
旧久富家住宅 499.49㎡
旧森永家住宅 197.74㎡(北蔵)/136.04㎡(南蔵)/80.94㎡(居宅)
用途:
旧久富家住宅 事務所、飲食店、写真スタジオ
旧森永家住宅 飲食店(北蔵)/物販店(南蔵)/物販店(居宅)

現在、佐賀市の中心市街地では新しいまちづくりの実践が行われている。きっかけはワークヴィジョンズによる「わいわい‼コンテナ」プロジェクトから始まる空地活用の可能性の追求であり、点在する空き物件のリノベーションによる再生である。柳町歴史地区再生もそのストーリーの一部として実行された。

柳町歴史地区は小倉と長崎を結ぶ長崎街道に面し、江戸から明治にかけて交通の要所として栄えた。現在は静かな住宅街になっているが、そこに並ぶ建物は当時の面影を残している。佐賀市は約20年前、この一帯を景観形成地区に指定し特に
重要な建物群を文化財指定し保存修復を行った。街並みは保たれたが文化財であるためにどうしても使い方に制限がかかる。行政の所有となっているため維持管理にも税金が投入され続けることになった。美しさはとどめているが、そこは生気のない標本空間となっていた。同時に手つかずの空き物件も増えつつあった。このまま放置されれば、朽ちていき街の風景価値は損なわれる。

3年前に佐賀市から相談されたのは、この状況を打破して欲しいということだった。街並みを維持するためには、ある程度の投資が予定されていたので、私たちが提案したのは歴史的価値のある空き物件を行政が買い取って所有し、すなわち公共空間とし、あえて文化財指定せずにリノベーションすることだった。新しい使い方が難しい文化財としての保存ではなく生きた空間として活用し続けるために賃貸し、公共空間としての役割を果たしつつ運営・維持管理は民間に委ねるプログラムを構築した。

柳町歴史地区再生のプロセスにはいくつかの工夫がある。
・設計段階でテナントを公募し、選ばれた企業と一緒にデザインを行った。参画企業は空間へのコミットメントが深くなる。
・行政側のメリットとして維持管理コストがかかるのとは逆に、家賃としての収入がある。それを街に再投資できる。
・そしてこのプロジェクトの最大の特徴は、企画段階から関わった7つのテナント/民間企業が、ここを自分たちの街であると受け止め、街の運営をごく自然に始めたことだ。新たに起業した彼らにとってまちの再生は、自分たちにダイレクトに跳ね返ってくる。その構造が、エリアの運営を行政ではなく民間が行うことを自然に導いた。

単体の建築、点のリノベーションが複数つながり合い、面として街に展開していくこと。それをエリアリノベーションと呼び、まちづくりの次の概念として提示できないかと考えている。またこのプロジェクトでは公共空間の新しい運営手法の可能性を模索することになった。

<『新建築』2015年09月号より抜粋>

※写真:(c)Daici Ano
※設計協力:石橋建築事務所