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カスタマイズURプロジェクト


時期:2013.07
所在地:晴海アイランドトリトンスクエアアーバンタワー/東京都中央区晴海1-8-5、フレール西経堂/東京都世田谷区船橋5-17、品川八潮パークタウン,潮路三波第一ハイツ/東京と品川区八潮5-6
クライアント:独立行政法人都市再生機構
規模(住戸数):晴海アイランドトリトンスクエアアーバンタワー/5戸,フレール西経堂/8戸,品川八潮パークタウン,潮路南第一はハイツ/5戸
住戸専用面積:晴海アイランドトリトンスクエアアーバンタワー/58㎡,フレール西経堂/52㎡,品川八潮パークタウン,潮路南第一ハイツ/64〜65㎡
用途:共同住宅


 カスタマイズURプロジェクトは,人口増の時代に大量生産された均質な団地という空間を,これからの時代に人々はどう住みこなすかという,住まいの可能性の実験だ.約75万戸の住宅ストックを持つURが抱える空き家や高齢化という問題は,人口減の時代に社会問題として顕在化している.さらに,賃貸住宅は退去時に元の状態まで内装等を戻さなければならない「原状回復義務」という不動産業界の普遍的なルールの上に成り立ち,住宅の均質化に拍車をかけ続けていた.膨大な住宅ストックという問題を,不自由な住まいから脱することによって緩和したい.私たちに求められた課題は,極めて少ない投資で,いかに空き家を魅力的な空間でつくり変えるかということだった.
私たちの提案は,住戸の間取りにはほとんど手を付けず,リビングの壁に「フリーウォール」と呼ばれる壁を設置する,カスタマイズ賃貸というしくみだ.住空間の中で,もっとも住まい手の自由度が高く,個性を表現しやすい「壁」.ラワン合板+木下地で構成されたフリーウォールは,思わず手を加えたくなる住まいのキャンバスだ.この壁面には,住まい手がどんなカスタマイズを行っても,退去時の原状回復は免除される.色を塗っても.棚などを付けていても,そのままの状態で退去でき補修費を負担しなくてよい.
さらに,このような住まい手のカスタマイズを促す仕組みとして,民間事業者によるサポートシステムを提案した.住まい手はDIYすることもできれば,toolboxによる工事サポートも受けられる※.※~H26.3まで
本プロジェクトは,単なる建築的なリノベーションではなく,住み方やそのシステム自体の提案である.フリーウォールという最小限の空間操作とサポートスキームを併せ持つことで,団地の凡庸な空間がさまざまな可能性を持つ空間に生まれ変わった.このような住まいが実現したひとつの要因は,toolboxを始めとして建築業界の知識がオープンソース化され始めたからだ.住空間に手を加える習慣や意識の乏しい日本で,壁一面を変えるという「きっかけ」から,住まい手に空間を編集する楽しさを伝え,やがてそれが住宅ストックをポジティブに使いこなすひとつの種になってほしい.(大我さやか/Open A)