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太東の集合住宅


時期:2011.04
所在地:千葉県いすみ市
クライアント:個人
規模:木造2階建て
建築面積:169.09㎡
延床面積:313.74㎡
用途:共同住宅


九十九里の海岸線を見下ろす高台の敷地に、木造の集合住宅を設計した。

敷地からまっすぐ坂を下った先の太東海岸は日本のサーフィン発祥の地ともいわれており、今も多くのサーファーが訪れる。
外房の海沿いは東に太平洋が広がり、朝海から太陽が登ってくるのがとても気持ちが良い。
高台の敷地から見える九十九里のゆったりと湾曲した長いビーチラインも魅力的だ。

そのビーチラインを一望できる立地を活かすように、全体計画はごくシンプルに、海に面して並べた4戸を2階建てに積み上げた合計8戸の合理的な構成とした。
1Fのプランは海に向かって下りていくような、段差のある細長いワンルーム。
2Fのプランはメゾネット型で、全体がスキップフロアになっている。

サーファーが使いやすいように、というオーナーの要望もあって、玄関からつながる広めの土間とバスルームという、サーファーには使いやすいプランは全ての住戸に共通させた。

海から帰って土間にボードを置き、バスルームで砂を洗い流す。
ベッドスペース、小さなキッチンのついたダイニングを通って、海に面したリビングと広めのバルコニー。
シンプルで細長い空間だが、複数でシェアをすることも想定したベッドルームに使えるロフトや、空間を緩やかに分けるスキップフロアを設けたり、高いところでは天井高約4000mmの空間にわざと梁を露出させ、サーフボードを乗せられるようにしてみたり、細かいところを丁寧に工夫した。

あとはあえてラフな仕上がり。スポットライトが追加できるライティングレールや、カーテンや間仕切りが付けられそうな位置の梁。同じくちょっとした小壁。
その時々の使い方に合わせて2way3wayに着こなせる服のような、「余白」と「手がかり」をもった住宅だ。

BOSO BASE 01のときと同じように、入居が決まった方には小さなカタログを作ってプレゼントした。
このカタログには、例えばスポットライトを追加で付けたくなったとき、簡単にオーダーできるような情報が載っている。
DIYに便利な合板から、バスルームに置けるフォトジェニックなバスタブまで。
この空間を自由に楽しく住みこなす小さなヒントが詰まった便利なツールだ。

半年ぶりに訪問したとき、どの部屋も予想をはるかに超えて見事に住みこなされていた。
入居者ごとに異なる趣向だが、それぞれ空間のカスタマイズがとても上手い。
余白と手がかりのコンセプトがしっかり成立していた。